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耳にとどけよ




好きなひとは、どうしてますか。





あの物語から、17年。





月島シズクは32歳、小説家志望の


ただのアルバイトとして、いそがしい毎日をすごしていた。







天沢セイジは、自分のバイオリンの工房を開き、


毎日、バイオリン職人として


バイオリンの製作に没頭していた。



「一人前のバイオリン職人になったら

俺と結婚してくれ。」




彼の言葉は現実になるのだろうか。






シズクが足しげくかよっていた地球屋は、


店主の老人、西シロウが亡くなった

5年前に店を閉め、


あそこに飾られていた、猫の人形。


シズクのお気に入り、バロンは

シロウの遺言にしたがい、シズクのものとなっていた。





シズクを地球屋にぐうぜんみちびいた、


猫のムーンも、いつしかすがたを


みせなくなっていた。


が、彼にそっくりなふとった白猫が


近所でよくみかけられていた。




シズクは、その白猫をサンとよんでいた。







シズクの親友の原田ユウコは、その後


野球部の杉村とつきあうことになり


ふたりが就職して4年目の秋にゴールイン。



現在は、ふたごの姉妹と、弟の3人の


子持ちである。







シズクの姉、シホは、大学を卒業後、


大手出版社に勤務。だが、主な仕事は


コピー機の番人であった。




そんなシホには彼氏がいたが、


3年前に結婚。だが、子供は、まだいない。









シズクは、今日も、近所のコンビニのレジをしている。





そこへ、杉村が弁当を買いに来た。



「よお、シズク、弁当あっためてくれや。」



「杉村、あんた、コンビニ弁当ばっかで


ユウコは、なにやってんのよ。」




「あいつはあいつなりに、がんばってんだ。


弁当がつくれないくらい、おおめにみてやるさ。」




「ふーん。あんたたち、いがいとうまくいってんのね。」




「シズクのほうこそ、おれたち、もう32だぜ。


セイジのやつ、なにかんがえてんだよ。


いつまでもシズクをほっといて。」




「彼は、彼なりにがんばってんだ。


おおめにみてやるさ。


はい、弁当あたたまりました。


530円になります。」



「ほい。じゃあ、またな。」





シズクは、コンビニの店員も板についていた。




コンビニの勤務を終えると、その足で



図書館へ行く。





そこで、本を物色していると


声がかかった。




「おい、シズク。待たせたな。」


天沢セイジであった。



「ううん。わたしも、いまきたとこ。」




ふたりは、図書館をでると、そのまま


ちかくの本屋へ。





シズクは、小説の新刊をいろいろとチェックしている。


セイジは、楽器の専門書を立ち読みしていた。





「俺、これ買うよ。シズクもなんか一冊、


買ってやるから。」




「いつもいつもじゃ、わるいよ。」



「いいんだ。俺、そんなに金に困ってないからさ。」



「まるで、わたしがお金に困ってるみたいじゃない。」



「いや、そういうつもりで言ったんじゃないよ。


いいから、一冊、えらびな。」



「じゃあ、これ」






ふたりは、本を購入すると




夜の街を歩いていく。



セイジはポケットに手をつっこんだ。





そこへ、モンスターのようにふとった


白猫が道を横切る。






「あ、サンだ!」




ふとった白猫が、こちらをちらっとみた。





「あいつ、最近、よくみかけるなぁ。」



「ねえ、セイジ。こんどの児童文学賞、


最後の応募にしようと思うの。」



「え、じゃあ、来年はどうすんの?」





「だから、わたし………。」




「あ、あぁぁ。じゃあ、シズク、俺と


結婚してくれ。」




「ええええ。いまプロポーズする?


しかも、わたしが催促したみたいになってるし。」




「えーっと、じゃあ、どうすればいいんだよ。」



「もう!知らないよ。そんなこと!」




シズクはそのまま、団地の階段を走ってのぼっていった。




ここの4階にシズクの両親と住んでいる。




「シズク!この本どうすんだよ!」




セイジは購入した本の紙袋を


持ち上げてみせた。









今夜は闇夜をてらす、満月の夜だった。












朝の光がさしてきた。








「俺が一人前のバイオリン職人に


なったら、結婚してくれ、シズク!」




「うん。わかった!」







…………………




あー、またこの夢だ。



わたし、あのときが人生のピークだったな。




目が覚めたが、まだ暗かった。







シズクはおきあがると机に向かった。



なにやら書いている。








”猫の恩返し”



原稿用紙のタイトルにはこうあった。





やがて、朝日がのぼると、



シズクは、朝食のしたくをはじめた。





味噌汁ができあがったころ、母親と父親が


キッチンにやってきた。




「シズク。そろそろ、お前も、どうするか


決めないと。」




「わかってる!わかってるよ!」




「なにがわかってるんだ。


お前、来年、もう33だぞ!」




「だから、わかってるって!」




シズクはそれ以上は、なにも言わず、


味噌汁をついだ。




母親は、ご飯をよそっている。




玉子焼きに、塩鮭、きゅうりのお新香が


朝ご飯だ。




「今夜、お姉ちゃんたちくるから、


みんなで久しぶりに食べに行きましょ。」



母が言った。






シズクの気持ちは晴れない。








それとは反対に、今日も晴れだった。









コンビニのバイトは、平日、5日間はいっていた。


いわゆる主力メンバーである。





「弁当、あっためてくれや。」



「杉村、あんたも毎日あきないねー。」



「お前こそ、毎日、朝からいるじゃん。」



「はい、あたたまりました。


うな重弁当、890円です。」



「ほい。じゃあ、またな。」




あいつ、なんかいいことでもあったの?



890円もする弁当買うなんて、珍しいわね。






コンビニの勤務は、それなりにいそがしかった。





昼休憩で、セイジに連絡をいれる。




”今日、お姉ちゃんたち来るから、図書館は

やめとく。”




”シズク、昨日はゴメン。謝るよ。”



”謝るってなによ。”



”だから、その…”





”とにかく今日は、お姉ちゃんたちと


ご飯行くから。”



”ああ、わかった。”




セイジはスマホを置くと、


つくりかけのバイオリンを


やすりで磨き始めた。





夕闇がせまるころ、シズクは


家路についた。




自分の部屋にもどると、


猫の人形、バロンに話かける。




「あなたの相方、いまごろ

どこでどうしてるのかしらね?」



バロンは黙して語らない。




姉のシホとその旦那のコウジがたずねてきた。




「シズクー。ご飯食べに行くわよー。」




シズクは着替えると、出かけた。





街中のファミリーレストラン。




家族で食事をしている。



姉のシホは、おしゃべりだ。




「シズク。あんた、いつまでも


フラフラしてないで。セイジ君とはどうなってるの?」



「ちゃんとしてるから!」



「ちゃんとしてるって、どうなってるのよ?」



「だから、だいじょうぶだから!」



「どう、だいじょうぶなのよ?」




「こんどの、児童文学賞の応募で


最後にするから!」



「え、じゃあ、セイジ君と、身をかためる


決心がついたの?」



「う、うん。まぁ。………」




「そうか。それはよかったな。」



父親のセイヤがビールに口をつけながら言った。




シズクは、まだ心が晴れなかった。





帰りがら、ファミレスのレジでパンフレットを


物色していたシズクがはっと気づいた。




このパンフの写真、バロンの相方だ!



そこには、猫の貴婦人の人形が


写っていた。




「すみません、この写真の猫。…」



「ああ、これね………。


ドイツのソーセージを輸入販売する


フェアのお知らせですが……」



「で、この猫は……」



「ああ、現地の古物屋でみつけてね。


撮影させてもらったんです。


たしか、ミュンヘンの郊外の店で……」





シズクは、その一週間後、


ドイツのミュンヘンにいた。




セイジもいっしょだった。










「あった!この店だ!」


ふたりは古物屋へはいっていく。





大きな本棚があり、古い本が


並んでいた。



その横に、大きな机があり、


いろいろな雑貨が置かれていた。




猫の人形はなかった。




「もう、売れちゃったの?」



「まってろ。いま、きいてやる。」



セイジが店員にドイツ語でたずねた。





「シズク。ついてるな。」



「え。じゃあ!?。」




「猫の貴婦人は、


ここのおばあさんのお気に入りの品だったそうだ。


もう、そのおばあさんは亡くなられて、猫の人形は


奥にしまってあるが、売りに出すそうだ。」




店員が、奥から猫の貴婦人をつれてきた。







「バロンの嫁も見つかったし。


俺たちも結婚しとく?」




「えええぇ。うん!」






セイジとシズクは笑顔で手をとりあった。

















「なんでもない毎日が


じつは、しあわせな毎日。なのかもね。」



ユウコが、ふたごの姉妹と弟に


チョコレートを買ってやっていた。








シズクは今日もコンビニのアルバイトだ。












おしまい。
























セイジがコンビニにシズクをたずねてきた。



「シズク、この本。ずっとあずかってた。」



セイジのもってきた本のタイトルは…………。




















作者あとがき


あの有名アニメーション映画の二次創作小説です。


なんか、いまいちなできあがりなので、

あとで、書き足すか、書きかえるかするかも。





さて、ここで問題です。


セイジが最後、エピローグでもってきた本のタイトルは?







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おかんの好きなポケモン





おかんの好きなポケモンなんやったかな?






おかんの好きなポケモン?




それやったらピカチュウとちゃうか?





いや、おかんがいうにはな。




かわいくないっていうねん。







ほな、ピカチュウやないか。






ベロリンガちゃうか?






それがな、ほっぺになんかついてるっていうねん。





ほな、ピカチュウやがな。




ほっぺに電気発電する器官がついてるやん。






いや、しかしな、いつでも笑ってるっていうねん。





ほな、ピカチュウかな?ベロリンガかな?どっち?








そいでな、ばつぐんばっか、でるいうねん。




そりゃ、ピカチュウやがな。






ベロリンガ、ばつぐん、いっこもでぇへん。






でもな。めっちゃ、かわいいときもあるっていうねん。




ほな、ピカチュウやな。




いや、まてよ、ベロリンガもかわいいときあるなー。





で、けっきょくなに?




おとんがいうにはな……。







ゲンガーちゃうかって。





見た人ほとんどいない………。






むだに生きる





ボクは、……



ボクはいつからこんなにヒマなんだろう。








仕事もなく、ただただ毎日を、着のみ着のまま



特別なこともなく、なにがおこるでもなく。






精神障碍者2級というのは、



思いのほか、できることが少ない。








一日のうち、半分以上は床にふせっている。






気候がよくなってきて、おきられる時間が



すこしずつふえてきた。





かといって、なにかすることも特別なことは



なにもない。






アルバイトもながくはつづかず、




面接にいくのもイヤになり、いくのをやめた。













そう。ボクにはなにもない。











統合失調症というヤマイの他には、なにも持っていない。













そんなことないさ。







筆をとることで、ボクはかわったのだ。




たとえ、自己満足でもいいのだ。






作品を残すことですこしでも




すこしでも




爪痕を残してやる。





ただただ、むだに生きたのではない。




爪痕を残すのだ。






生きたあかしを。




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