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からっぽの空


みつからない?







みつからない?













…………………。



…………………。





…………………。





ボクの見上げるは、いつもからっぽだ。





そこに何もない。




月も星も太陽も。






だからボクは、いつもうつ向いている。




そこにも何もないのだけれど。





………………………。



…………………。


ボクが、ものごころついた時には、




既に両親は離婚していて



父親はいなかった。





母に父のことをきくと、いつも



決まって、話したくないといわれた。







話したくもないと言われてしまうような男が



自分の父親だと思うと、何だかやり切れなかった。





そんな男にだけは、なりたくない。と



ボクはいつも思うのだった。





クラスメイトの中にはクズみたいな連中も何人かいた。




いつも暴力をふるうヤツ。



勉強も運動もまるっきしダメなヤツ。



女のケツばかり追いかけまわすヤツ。





ボクは、やつらとは違う。絶対に違う。


そう思っていた。





ある日、となりの席のミサキがきいてきた。




「あのさ、ユタカの夢って何?」



………夢?





夢………。ボクは、…………………。



ボクは……………………。



何がしたいんだろう?





からっぽだった。



ボクが最低だと思っていた、


そんな連中だって夢くらい持ってる。




でも、ボクは何にもない。からっぽだった。



「オ、オレはいいからサ。ミサキの夢は何だよ?」




「あ、あたし?あたしはねえ。



 普通にお嫁さん。


 好きな人のお嫁さんになる。」




そう言った、ミサキは笑顔だった。



「ユタカは?ユタカの夢も教えてよ。」



「オ、オレの夢は…………………。


 ナイショだよ。ナイショ。」



「なんだ。つまんないの。」





そう。オレは自分が


つまらないヤツだって気づいた。



まわりの連中はとっくに


気づいてたことなんだろうな。


…………………。






その次の日曜日。




ボクは母さんにきいてみた。



「ねえ。母さんの夢はなんだった?」




「え?母さんの夢?



 そうねえ。若いころは


 好きな人といっしょになって


 子供が出来て、家族と幸せに暮らすのが


 夢だったかな……………………。」




「父さんが、その夢を、


 こわしたんだ……………………。」




ボクは無性に悲しくなった。



小さいころに感じた、


やり切れなさが、また込み上げてきた。




「え?何でそんなこと言うの?」


母は不思議そうにたずねた。



「だって、いつも父さんのこと



 話したくないって。


 父さんのこと、もう思い出したくも


 ないんだろう?」




「え、あなた。お父さんのこと


 そんな風に思ってたの?


 …………………。


 ちがうの、そうじゃないのよ。」



「え。じゃあ、なんなんだよ?



 父さんのこと話してよ!」




「そうねえ。



 もう。いいかしら。


 ユタカも、もう大人だしね。」



そう言って母さんは、


ボクを美術館へ連れ出した。





母は二人分の入場料を払って



美術館に入ると、そこにある画を


見るともなしに、奥へすすんでいった。



ボクは、わけもわからずついていく。



ある女性の描かれた画の前で


母が立ち止まった。



「これ、わかる?」


母はそう言うと、そのを指さした。




のことなんてわかんないよ!


 オレが知りたいのは、父さんのことなんだから!」



オレは、思わず、静かな館内に響き渡る


大声を出してしまった。



「だから、これ。お父さんの描いたよ。」


「えええ!」



オレは思わず叫んだ。


親父は画家だったのか。



「も。もしかして、これ。


 母さん?」



「ええ、わたしがモデルになって


 父さんが描いたよ。」



 お父さんね、有名じゃなかったけど


 一応、プロの画家だったの。


 心臓が弱くてね。


 ハタチまで生きられないだろうって、


 言われててね。



 それでも、21まで生きた…………………。」




そう言って母さんはを浮かべた。



「ユタカもね。父さんと同じ病気なの。


 小さいころから激しい運動できなかったでしょ?


 あなたもハタチまで生きれるかどうかって、


 お医者さんが……………………。」



「ハタチまで生きれるかどうか………………。」




不思議と悲しくはなかった。



母が父のことを黙っていたわけが


やっとわかった。



母と父は嫌いになって別れたんじゃなかったんだ。



オレは、それがわかって嬉しかった。









…………………。




…………………。



…………………。





「オレの夢。話してやるよ。



 オレ、画家になりたい。


 有名にならなくてもいいから


 たくさん、絵を描きたい。」



「えーー。そうなんだ!


 ユタカ。絵、うまいもんね!


 きっと、画家になれるよ。」




そう言った、ミサキは笑顔だった。



オレも笑顔だったと思う。









残された時間は、わずかだけれど。



今のオレには、まったく焦りはなかった。










見上げる、からっぽのが今日はきれいだ。





THE END










坂口 有望

っぽのが僕はきらいだ」









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