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みんな空の下


コウスケは、タイチのことが気に入らなかった。



タイチはからだも小さくて非力で


他の子どもたちにも、なめられていた。




からだも小さく、ちからでも勝てないタイチだったが


彼には、他の子たちにはない、何かがあった。




タイチはいつも笑顔を絶やさなかった。




タイチの笑顔を見ると、コウスケは


なぜだか劣等感を感じるのだった。




その笑顔がタイチの存在を際立たせ、


コウスケは、タイチにたいして


いらぬ嫉妬を感じる原因となっていた。






そこで、コウスケは他の子どもたちと結託して


タイチをいじめた。






タイチの靴を隠して、


困ったタイチが靴をさがして歩き回るのを


知らぬ顔をしてコウスケは


優越感にひたるのだった。




結局、靴は見つからず、タイチは上履き用の


シューズを土足で使い、それで帰った。




タイチの靴は、コウスケの手で


小学校のゴミ焼却炉の中に


投げ込まれて、そのまま燃やされてしまったのだった。





次の日、タイチは


新しく買ってもらった靴で登校したのだが


コウスケはそれが気に入らなかった。



靴が新しくなった理由は、彼がつくったのだが


それが、よけいに彼の虫の居所を


わるくしたのだった。




コウスケは今度は、タイチのカバンを隠した。



勉強用具が入っていたままのカバンを


隠されてしまったので、タイチは困った。



困ったタイチが担任の先生に、

カバンがなくなったことを告げると、


先生は、他の生徒に、タイチのカバンを知らないか?


ときいたが、誰も答えるものはいなかった。




担任の教諭は、嫌な予感がした。


カバンを隠した生徒がいるのではないか?



いじめっこたちは、先生の目の前で

タイチをいじめるようなことはしなかったが、


担任の教諭は、普段の様子から、

タイチがいじめられているのではないかと

うすうす感づいていたのだった。



だが、たしかな証拠もないので、


担任の先生はタイチの隣の女の子に

教科書をいっしょに見せてあげなさい、と

言っただけで、なくなったカバンのことは

それ以上はふれなかった。



タイチが隣の女の子と仲良く


教科書をいっしょに見ているのが


コウスケには、またもや気に入らなかった。



担任の先生は、タイチの父と母に手紙を書いた。



タイチのカバンがなくなったので、

しばらくは、かわりの手提げ袋で代用することを

許可するという内容だった。



タイチの母は、なんでカバンをなくしたのか?


とタイチに叱責したが


タイチは、自分は知らない。いつの間にか

なくなったんだ。と言うのだった。






タイチのカバンも、靴と同じく

コウスケの手で

焼却炉の中に放り込まれて


燃やされるところだったのだが


焼却炉を管理する公務員のおじさんが

異変に気づいて、カバンに名前が書いてあったため

タイチの担任の先生に届けられた。





カバンが焼却炉に投げ込まれていたことを


知らされた担任教諭は、

タイチがいじめにあっている。

それもかなり陰湿なたぐいのものだと、気づいた。



だが、誰がやったのか、

決定的な証拠がないままだったので

タイチにカバンを返したが

どこで見つかったかは教えなかった。




コウスケはカバンが無事に返ってきたのが


またまた、気に入らなかった。




焼きが回ったコウスケは、とうとう直接手を下した。


タイチの消しゴムを目の前で取り上げて奪ったのだ。



タイチは、返してよ。と訴えたが


コウスケは得意げにタイチの手が届かない頭上に


消しゴムを掲げて悦に入った。




タイチは、返してよ。返してよ。と


何度も訴えて、あきらめなかった。



そのうち始業のチャイムが鳴って先生が来た。



タイチが消しゴムを取られて困っているのを

見て、教諭は悟った。



カバンを隠したのはコウスケだ。



ずっとタイチをいじめていたのはコウスケだ。




担任の教諭はコウスケを叱責した。


「コウスケ!やめるんだ!!


 お前のしてることは最低だ!」



担任の先生が激怒してるのを見て


コウスケは思った。


俺のしてることは、いけないことだったんだ。




小学3年生のコウスケには、


いじめが最低な行為であることがわかっていなかった。



ただただ、本能の赴くままにタイチを

困らせようと行動していたのだった。




先生に延々と諭されてコウスケは思った。




先生はタイチの味方だ。


俺のしてたことは悪いことだったんだ。




先生は言った。


「コウスケ!タイチに謝れ!!」




コウスケは自分では、なぜだかわからないが


が出てきてとまらなかった。



「ごめんないさい。ごめんなさい。」




と、泣きながら謝るコウスケに、タイチは






「もう、いいよ。」


と、いつもの笑顔で答えた。



いつもは、虫図の走るはずの、その笑顔を見て



コウスケは、なぜだか、

救われたような気がしてならなかったのだった。





「みんなの頭上には等しくがある。


 どんな人の頭上にも等しくがある。」




担任の教諭はタイチとコウスケに、そう諭すのだった。











絢香

「みんなの下」





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