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FAINAL FANTASY XI 外伝 「ルッピ・ジュッピの冒険」

オラの名はルッピ・ジュッピ。


サンドリア王国で生まれ育ったナイスなタルタルボーイだべ。



サンドリアはエルヴァーン達が興した王国だ。


ヴァナ・ディールで唯一、ナイトを輩出する優秀な武の国でもあるべ。




そんなサンドリアの海の玄関口の港にある冒険者達の溜まり場。


野兎の逆襲亭。



ホカッチャ豆とロンフォール兎の


新鮮な肉を煮込んで作った煮込み料理が名物だ。


 

いつも冒険者達が色々な噂話を酒のさかなにして集っていただ。



そこの調理場で働いている両親に育てられて


オラは何不自由なく暮らしていたんだ。



オラが16になったある日。


いつものようにオラは店で作る煮込み料理につかう兎を追いかけて、


森の奥深くまで来てしまっていただ。


ここら辺りは王国の人たちも滅多に足を踏み入れない場所だった。


王国の長い歴史の中でも屈指の武人、


龍王ランペールの墓があると噂される


森の奥深くに来ていただ。


「しまったなぁ。こんなトコロまで来て兎一匹しか獲れてねえぞ。


今夜の客は肉の取り合いになっちまうなぁ。」


実際、客の中には肉が少ないと、


いちゃもんをつけるやからまでいるからな。


 
などと考えていたその時、草むらがガサッと音をたてた。


オラはとっさに矢を放ったが手ごたえはなかった。



ΩXAγω!!


ヤブの中から獣のような恐ろしい声がして


突然、オラの目の前が真っ暗になった。


「うわっ。何も見えねえ。」


何か大きな生き物の気配が近づいてくる。


オラは逃げようとして、きびすを返した。


その瞬間、頭に何か硬いものがゴンッ!とぶつかって気が遠くなった。





野兎の逆襲亭の調理場では男と女、二人のタルタルが忙しく働いていた。


男のタルタルは包丁で何かの葉っぱのようなものを千切りにしていた。


女のタルタルは、かまどに載せてある大きな鍋の中の


グツグツ煮えているスープを必死にかきまわしている。


「ルッピのやつ、おせーだなぁ。」

  
「どこぞで道草でも食ってるんだべ。」


「ついでにハーブを採って来いとは言ったども、


 食えとは言ってねえべさ。」


「そろそろ、兎の肉ほうりこまねえと


 煮込み時間が足らなくなってまうべ。」


「しゃあねえ。今夜は豆だけで出すべな。」


「本当にルッピのアホたれぼうずが。」




そこへ、一人の若い男のエルヴァーンの給仕が入ってきた。



「おーい、料理長。仕込み終わったか?」


「いや、それが、ルッピのやつが


 兎を獲りに行ったまんま帰って来ねーだよ。」


「まさか、森の外れまで行っちゃいねーだろうな。


あの辺りはオークどもが旅人を狙って出没するって噂だぜ。」


「困っただなぁ。今から店が忙しくなるから

  
探しに行くわけにもいかねぇし。」

 
「今、店のほうに俺の知り合いの冒険者が来てるから


森へ探しに行ってもらおうか?」


「それなら、そうしてもらおうか。だども礼金て高いんだべな?」


「そうだなぁ、森へ探しに行ってもらうくらいなら前金で50ギル、


成功報酬100ギルってところじゃないかな。」


「あちゃー、ここ三日分の儲けがパァだな。


ルッピのアホたれめが。夕食抜きだかんな。」


料理長は包丁を振り回しつつそう言った。





野兎の逆襲亭の隅の席、


4人がけのテーブルに3人の男女が座っている。


一人は背が高く耳がとがっており、

軽装の革鎧に腰にショートソードを


帯びていた。おそらくエルヴァーンであろう。


もう一人はヒュームの男で、


こちらは鎖帷子に珍しい形の弓を背中に


くくりつけていた。矢筒に矢が大量に入っている。


腰には奇妙な形の短剣を二本挿している。


もう一人はヒュームの女性で


丈夫そうではあるが布の服を着ている。


だが、一見してわかるが明らかに戦闘用に造られた、


攻撃を受けても 刃の通りにくいつくりの法衣である。


腰には短めの杖のような棒切れを


挿していた。おそらく何かの魔力が込められているだろう。


二人は赤ワインと昨日の残り物の煮込み兎肉で

少し遅めの昼食をとっていた。


ヒュームの若者だけはビールと


バストアサーディンのバタームニエルを口に運んでいる。



エルヴァーンの剣士が口を開いた。


「なあ、シスター。俺は妙な噂を耳にしたんだ。きいてくれるかい?」


「どんな噂なの?マルレーン。」


ヒュームの女性はワインに少し口をつけた。


「何でもサンドリアを狙っている獣人オークどもの


前線基地であるゲルスバ砦に今度の新月の晩に


オークの王バゴデが部下を引き連れておみえになるんだとさ。」


「それはまた、物騒な話ね。」


ヒュームの女性はワインを飲みほすと、お替りを注文した。


「それと、もうひとつ。


俺達、エルヴァーンの中にも魔法の技を


身につけた連中が少なからずいるんだが、


そいつらのなかに失われていた古代の秘術を復活させた


者が現れたらしい。」


「失われた古代の秘術ですって?」


女性は興味を持ったようだ。


「おい、ちょっと」


黙って魚料理を口に運びながらきいていたヒュームの男が


口を挟んだ。


「どうした?」


いつの間にかテーブルそばに一人のエルヴァーンの給仕と


男女二人組のタルタルが来ていた。


「ちょっと頼みがあるんだよ。マルレーン。」


エルヴァーンの給仕が頭を下げた。


「頼みとは何だ?」


「オラ、ここの料理を任されているロッピ・ジュッピといいますだ。」


「アタシは妻のシャルルですだ。」


「オラ達の息子のルッピが


料理用の兎を獲りにロンフォールの森へ


 出かけたまんま戻らねぇんでさぁ。」


「もしかしたらオーク達に襲われでもしないかと心配なんです。


 だども、アタシ達は店があるだで探しに行かれねぇだ。」


「じゃあ、俺達がそのルッピというタルタルを連れて帰れば


 いいんだな?」


背中に弓を背負った短髪のヒュームが言葉をきった。


「ええ、お願いしたいんだども………。」


「前金で100ギル、成功報酬150ギルだな。」


と、エルヴァーンの剣士マルレーンは言った。


「えええ、そんなに高いんだかぁ。」


「ここの売り上げ一週間分だぁ。」



「近頃、どういうわけだかロンフォールの森に


 オークが大量に現れるようになってね。


 それくらいもらわなければ割が合わないよ。


 こっちも命がけなんでね。」


「息子の命には代えられねえ。お願いしますだ。」


 タルタルの夫婦はそろって頭を下げた。





ルッピ・ジュッピが目を覚ますと体を


グルグル巻きに縛られていた。


頭を殴られたのかズキンズキンする。


周りを見渡すとそこは小さなテントの中だった。


粗末なつくりの寝床のようなものや、家具なのか


ガラクタなのかよくわからない品々が置いてある。



ルッピ・ジュッピは気絶して床に座らされていたようだ。


背中は何かやわらかいものにもたれていた。


背中に当たっているものが何か気になったので、


必死にもがいて、なんとか座っている向きを変えた。


すると、そこにはもうひとりのタルタルの青年が、これまた


片目の上に殴られた痕を腫らして気絶していた。



 

オラはそいつを蹴って起こそうとした。


ちょっと小突いたくらいでは起きそうにない。


思いっきり蹴ったくった。


「うがっ!痛っってぇっ!」


「気が付いただか。」


「アレ?ここどこだ?


たしかオークの大群に追いかけられて目の前が


真っ暗になった後……。タコ殴りにされたんだった。」


「オラも目の前が真っ暗になった後、殴られただよ。」


「と、すると。ここはオークのねぐらか。


まさか、ダボイまで運ばれちまったんじゃねーだろうな……。」


「ダボイってなんだべ?」


「豚野郎どもの本拠地だよ。ダボイの奥には


オークの王様がいるって噂だぜ。」


「オラ達、食われちまうんだべか?」


「その前に脱出しようぜ。そらっ。」


そういって彼がアゴでさした先にはオークが武器として使う


大きなナタがテントの柱に突き刺さったまま放置されていた。





 
陽の光が中天から少し西に傾きかけた頃。ロンフォールの森を



三人の冒険者が注意深く辺りを見回しながら歩いていた。



先頭を歩いていた鎖帷子の男が地面の一点を見つめ、


そちらへ駆け寄った。


かがみ込んで熱心に地面を調べている。



「何か見つけたのか?アヴァロン。」


革鎧のエルヴァーンの男マルレーンが声をかける。



「子供くらいの足跡だ。タルタルのかもしれねぇ。」



「周りにたくさんの大きな足跡があるわね。」


白い法衣の女性が言った。



「まずいことになったようだ………。


 こりゃ、オークどもの足跡だぜ。」


そう言ってアヴァロンが立ち上がった。



「とにかく引き受けちまったんだ。追跡して骨だけでも


 拾って帰ってやるしかあるまい。」



マルレーンは腰の剣を確かめながら言った。



「今夜の飯がまずくなるようなこと言うなよな。」


アヴァロンが言い返す。


女性の冒険者が白い法衣の頭巾をまぶかに被り直し、


祈りを捧げるように腕を組んで目を閉じた。









オーク達のテントの中から可愛らしい顔が外を覗いた。



そのわきからもうひとつの顔が


外を覗こうとひょっこり出てきた。




「おい、どうだルッピ。オークどもはいるか?」



「大丈夫みたいだ。……………。



 おい!アレを見るだ!!」



「え?どこどこ?あっ、何してんだ?アイツ?!」




断崖の上に一人のエルヴァーンがいた。


全身、真っ赤な貴族服に身を包んでいる。


真紅のブレザーに


真っ白のブラウス、胸にのスカーフをたらしている。


貴族の家名を表す紋章をあしらう部分は無地のままだった。


真っ赤な帽子に白い羽を飾っていてなかなかおしゃれである。



その赤い服の男、崖の上に立って何をしているのかといえば、


長い、しなる棒の先に糸を付けてたらしていた。




 

「何だアイツ。こんなところで釣りなんかしやがって。


 オーク達はどうしたんだ?」


 
「あ!あそこだぁ。」



ルッピが指した方向からオークが二匹、のそのそと歩いて来た。


赤い服のエルヴァーンに近づいて行くが、



エルヴァーンは全く気にしていない様子だ。


「おい。やばいんじゃないのか。あの赤ふく男。」


「オラが、このナタで助けるだぁ。」


「そんな重いナタ、お前に使いこなせるわけねーぜ。」


 二人がそう言っている間にもオーク達は


赤い服の男のすぐ後ろまで迫っていた。


 
オークに襲われる!


 
と、二人は息を飲んだ。



しかし、オーク達はその男の方へ視線を向けはしたものの、


全く襲い掛かろうとせずに、そのまま行ってしまったのだった。



赤い服のエルヴァーンはオークなど気にも留めず、


釣りに集中している。




「おい、あの男。とにかく、ただ者じゃなさそうだ。


 アイツに助けを求めよう。」



「そ、そだなぁ。」


ルッピ達は赤い服のエルヴァーンに、ひょこひょこと近寄った。


ルッピはオークのナタを抱えながら話しかけようとする。



赤い服のエルヴァーンはそれでも、黙って釣りを続けている。


「あ、あのー。」


「ん?俺に何か用?」


男の腰ほどの高さしかないタルタルが必死に話しかける。


「オラ達、オークどもにさらわれて


 こんな所まで連れて来られちまっただぁ。


 この辺りはオークがうろついとるだで


 オラ達を助けてくれねぇべか。」


赤い服の男は、ルッピの顔を見下ろした。



「別にいいけど、君達の名前は?」


「オラぁ、ルッピ・ジュッピだ。」


「そっちの巻き毛のチビは?」


「タルタルに名前をきく時は、まず自分から名乗れよな。」


チビと言われて明らかに不機嫌だ。


「俺の名前?はは。忘れちまった。」


「じゃあ、俺も教えねーぜ。」


巻き毛のタルタルの青年は意地を張っている。


エルヴァーンの赤い服の男は釣竿をしまい込みながら答えた。



「君達を助けてやってもいいけど、俺はここで人を待ってるんだ。


 その人が来るまでいいかな?」


「何言ってるんだよ!お前!!


 こんなオークどもの住処のまん前で


 待ち合わせなんてするバカがどこにいるんだよ!!」


「ここにいるじゃないか。」


赤い帽子を被り直しながらエルヴァーンは苦笑いした。


「俺はバカだからな。」


「あのなあ………。げっ、またオークだ!」


今度は三匹のオークがやって来る。


二匹はナタを持っているが、一番後ろの一匹は長い杖の


ようなものを持っている。


「まずい!隠れなきゃ!」


あわてるタルタルたちを尻目に赤い服のエルヴァーンは冷静だった。


彼は両手で不思議な形の印をつくり、不思議な言葉を唱えた。


「дйвфжл……」


すると、ルッピ・ジュッピの姿が風景に溶け込むようにかき消えた。



「オラ、どうなっちまったんだ?」


ルッピは訳がわからず混乱している。

 
巻き毛のチビタルタルがそれを見て言う。


「何だ。お前、魔法が使えたのか。俺にもその姿隠しの魔法


 かけてくれよ。」


巻き毛のタルタルはニッと笑った。


「名前がわからない奴にはこの魔法はかけられないんだよ。」


「ええー。それを早く言えよ!オークが来ちまう!」


巻き毛のタルタルはあわてて、必死でオークのテントの中に隠れた。





三匹のオークも赤い服のエルヴァーンに襲い掛かる気配はなく


現れた方角と反対側へ行ってしまった。



巻き毛のタルタルはテントから顔を覗かせてオークが行ってしまったのを


確認すると出てきた。



「なあ、お前はどうしてオークに襲われねーんだ?」


「さあ?何でだろうな?」


二人が話しているとオークが向かったのとは別の方角から近づいてくる


人影があった。


「あれ?誰かくるぞ?お前、本当にここで待ち合わせしていたのか?」





やって来たのは一人のエルヴァーン。髪の毛は少し長めでボサボサの髪の毛。


真っ白な派手な分厚い鎧を身にまとい、マントをなびかせて歩いて来る。


腰には長めの片手剣が提げられていた。



「遅いじゃないかヴァーミリオン。待っている間に


バストアサーディンが20匹も釣れたぜ。」


「そうか。ナイスだ。ユッキー。後で食おう。


……………ところでそのチビ助は新しい仲間か?」


ヴァーミリオンと呼ばれた、たくましい体つきの白い鎧のエルヴァーンは


タルタルを見てたずねた。

 
赤い服のエルヴァーンを”ユッキー”と呼んでいる。


エルヴァーンはそんな簡単に発音できる名前ではないだろうから


恐らく愛称だろう。


「仲間と言うよりもお荷物が二つ増えた感じかな。」


「このタルタルがお荷物?」

 
そう、首をかしげたヴァーミリオンの目の前に、姿隠しの魔法がきれて


ルッピ・ジュッピが姿を現した。


「オラ、ルッピ・ジュッピといいますだ。」


オークのナタと野兎を大事そうに抱えるルッピを見て


「なるほど、確かに荷物は二つだな…………。」


とヴァーミリオンは真面目な顔でつぶやいた。








ロンフォールの森の外れ、オークの砦に近い場所で三人の冒険者達が


小声で話し合っていた。陽はだいぶ西に傾いている。




「おい、この、そこかしこに建っている旗の様なものは


オーク達が目印にしているものなんじゃないか?」



「タルタルらしき足跡は見失ったがオークどもの足跡が


そこらじゅうについているぞ。」


鎖帷子のアヴァロンがきゅうに目を細め、


背中にくくっていた大きな弓を両手に構えた。



「おい、オークの臭いがしやがる。この先がクサい。」


 
それを聞いた革鎧のエルヴァーン、


マルレーンはショートソードを鞘から抜くと、


物音を少しもたてずに木の陰から陰へと移動していった。



弓を構えたアヴァロンと白い法衣の女性は静かに慎重にゆっくり歩いて行く。




突然、若者の前方五メートル程度の草むらがガサゴソとゆれた。


アヴァロンはそちらに弓を構えて立ち止まった。


法衣の女性は杖を持って両手を自然な高さに上げた。



ΩXAγω!!


草むらの中から獣の吠えるような声で呪文を唱える声がした。



アヴァロンの目の前が突然真っ暗になり、い霧のような

 
煙のようなものが彼の顔を覆った。



法衣の女性はそれを見てあわてることなく、両手を組み


小声でなにかつぶやく。


すると、アヴァロンの顔を覆っていたい霧が消滅した。




そこで、アヴァロンは弓のつるをきつく引き絞ると矢を放った。



草むらの中から、ぐえっ! と豚の鳴くような悲鳴があがった後、


巨大な人型の獣が飛び出してきた。



顔に赤い線の紋様が入った仮面を被って醜い獣の顔を隠している。



手には長めの杖を持って、無茶苦茶に振り回している。




アヴァロンがもう一本、矢をつがえて放った。




ひゅん。


オークの左手に命中して、オークは


左手に持っていた杖を落とした。




次の瞬間、オークの背後の木陰からマルレーンがいきなり



現れて、大きく振りかぶった強烈な一撃を獣人に向かって振り下ろした。



ガシュッ!!



不意打ちが完璧に決まり、その一撃でオークは声も上げず絶命した。



首筋を後ろから切断する見事な剣筋だった。



「いい仕事だ。マルレーン。」


「お前こそ、いつも見事な腕前だ。アヴァロン。」



二人は会話とともに視線を交わした。


アヴァロンは向きをかえると、法衣の女性に話しかけた。


「助かりました。シスター。


さっきのは白い魔法と呼ばれる技ですね。」



ヒュームの若者アヴァロンは弓を背に留めながら言った。


「ええ、最近手に入れた魔法の書に書かれていた


イレースという新しい呪文です。」



「その呪文があればオークどもの闇の魔法に対抗できますね。」



二人の会話をよそに、オークの死体をさぐっていたマルレーンが


いクリスタルを見つけた。


く輝く、あやしい美しさである。



「こいつは珍しい。闇のクリスタルか。


オークのような下等な豚どもの中にも魔法を使うやつがいるんだな。」



「闇のクリスタルは、ものを腐らせる魔力があるらしいぜ。」


「そんなもの役に立たねえな。捨てちまうか。」


それを聞いてシスターと呼ばれた女性は声をあげた。



「いいえ、役に立ちますわ。腐らせて発酵させる食べ物を


つくったり、革をなめすのに使えますわよ。」



「そうか。じゃあ、こいつはシスターが持っていてくれ。」



マルレーンは女性にクリスタルをわたした。


三人は身を軽く整えると、用心しながら歩き出した。



 



一方、その頃、ゲルスバ砦にあるオークのテントの中から


話し合う声が聞こえてくる。


「正気か?ヴァーミリオン。」


「ああ、俺は本気だ……。」


「バゴデを倒すなんて無理だ。奴はオークの王なんだぜ。


そこら辺をうろついている豚野郎どもとはワケが違う。


 オークといえども奴らの一族をまとめ上げた英雄なんだぜ。」


 「英雄といえども腕も足も二本。頭は一つしかない。


 全部、剣で撥ねちまえば問題ない。」


「問題はそれだけじゃない。王の側にいつもくっついてる


 オークの魔術師が大問題だ。奴の魔力は底が知れない。」


「その魔法を封じるのがお前の役目だ。

 
  あの闇の王でさえ、お前の魔法で沈黙したじゃないか。」


「あれは運が良かっただけだ。


 それにあの時は二人じゃなかっただろ。」


「では、新しい戦力を連れて来い。」


「俺、友達いねーよ。」


「さみしいな。ユッキー……。


 では、ギルドのメンバーを招集しよう。」


え。ヴァーミリオンは友達じゃないのかよ。
 


ヴァーミリオンは腰につけていた貝殻のアクセサリーを


口に近づけて、それに語りかけた。


「ギルドメンバーの諸君。今、私とユッキーはオークの王を


討つべくゲルスバ砦へきている。


諸君らも至急、馳せ参じて参戦せよ!」


やや間があってから、貝殻のアクセサリーから返事が返って来た。


「えー、そんな重要な作戦があるなら、もっと前もって


 言ってくれなきゃ困りますよぉ。


 こっちも準備があるんだから。」


若い男の声だ。声からして十代後半から二十代前半といったところか。


「ユニ・ユニか。バゴデのもっている魔斧ジャガーノートは


 欲しくないか?奴の首を獲った者にその権利を与えよう。」



「別に欲しくないですよ。でも参戦します。」


 次に聞こえたのは陽気な女性の声だった。
 

「ウチは黒魔法を準備して行くニャ。


 ちょうど、移動魔法デジョンを使えばすぐ着くニャ。」


「俺も参加したいんすけど、俺の未熟な腕でも大丈夫でしょうか?」


 男性の声が自信なさげに言った。


「構わん。来い。」


ヴァーミリオンは彼に自信をつけるように言った。



「私は足手まといになるから辞めとくわ。


 みんな、死なないでね。」


落ち着いた女性の声だ。


「ヴァーミリオン卿、私めも馳せ参じます。」


貝殻から次々と声があがった。


「これでモンクはなかろう、ユッキー。


 今夜、作戦を決行するからな。」


ヴァーミリオンは決意を新たにした。



ユッキーは、やれやれというように帽子を被りなおした。





その日の夕暮れ時。


テントの前に三匹のオークの死体が転がっていた。


どれも、一撃で首を撥ねられていた。 



その横に黒塗りの鎧に身を固めたヒュームの男と白い鎧の


エルヴァーンの女性が見張りをするために立っていた。


テントの中では話し合いが行われていた。



「ユッキーとディー、ユニ・ユニの三名が各員に姿隠しの魔法を


 使い、全員でオークの王のいる玉座まで潜入。


 直ちにこれを殲滅する。


 作戦は以上。」


 ヴァーミリオンが言い放った。


「アホなエルヴァーンでも考え付く単純な作戦だな。」


ユッキーがケチをつけた。


「じゃあ、他に作戦を考えてくださいよ。」


紫色の洒落たデザインの鎧に身を包んだエルヴァーンの若者が


ユッキーを責めた。


ユニ・ユニは普段は背中に不思議な形をした槍を


くくり付けていたが、今は座っており、槍は横に置いてあった。


「ユニが考えろよ。お前、頭いいだろ。」


「ヴァーミリオンの考えた作戦でいいと思いますよ。」


「で、いつごろ作戦開始なのニャ?」

 

つばひろのイカした帽子を被ったネコ耳のミスラの女の子が


ヴァーミリオンにたずねる。身軽な黒地の服を着ている。


恐らく戦いには直接は参加しない魔法使いであろう。


「全員が夕食を摂った後、休憩してから、即出発するぞ。」


ヴァーミリオンは、やる気満々といった表情である。


ユッキーは、上ので帽子の羽飾りをいじっていた。




各自がそれぞれ夕食を摂っている。


ヴァーミリオンは干し肉をかじっていた。


ユニ・ユニは豪華な串焼料理を持参していた。


「あ、それミスラ風じゃん。一本ちょーだい。」


アップルパイをほお張っていたディーがユニ・ユニの串焼を


一本、奪うようにして口に入れてしまった。


「あぁー、あげるなんて言ってないのに。」


ユニ・ユニは不満そうな表情であった。




赤い服のユッキーは釣り上げた魚が大量に入った桶を


目の前に置いて、それを無言でじっと眺めている。
 

ルッピ・ジュピと巻き毛のタルタルは腹をかせて黙っていた。




黙っていたユッキーがとうとう口を開いた。



「あのー、誰かこれ料理できる人いない?」


ユニ・ユニが半笑いの顔で言う。


「ユッキーさん、料理できないのに、そんなにいっぱい


 釣ってどうするんですか?」



「釣ってから、生で食えない事に気が付いた。どうしよう。」


「塩ふって焼くだけでおいしく食えるニャ。ハイ、お塩。」


そういってディーがふところから塩の入った袋を取り出した。


「かたじけない。」


ユッキーはふところから真っ赤なクリスタルを取り出した。


ゆらゆらと炎のような熱い輝きだ。


魚を紙の上において軽く塩をふる。


赤いクリスタルを手に握り締めて、粉々に砕いた。

 
クリスタルの破片は、魚の身の上に落ちて、細かい炎を


上げて軽く燃えた。魚の身が焼けてよい香りがただよう。



それを二人のタルタルは指をくわえて見つめている。


ユッキーはバストアサーディンの塩焼きを六匹分作ると、


二匹ずつ、タルタルたちに無言で差し出した。


「オラたちにくれるだか?」


遠慮がちにいうルッピにたいして、ユッキーは無言で


うなずいた。


巻き毛の名乗らないタルタルは、すでに魚にかじりついていた。



ルッピは夢中で食べた。朝から何も食べていなかったから、


苦手な魚でも、とてもおいしかった。



腰に提げている可哀想なロンフォール兎も、


クリスタルで料理したら、うまいのだろうか。




ディーとユニ・ユニはいちはやく食事を終え、


外の見張りと交代した。



黒塗りの鎧の男は真っ黒な重そうな剣を持っていた。


エルヴァーンの女性はヴァーミリオンと似たような


白い鎧を着ていた。鎧のあちこちにサンドリアの正騎士の


証である紋章が入っていた。


ヴァーミリオンの鎧と同じ文様であることから、


同じ部隊か、同じ階級なのではないだろうか。


二人は遅れて食事を摂った。


それぞれ、男はおにぎりを、女性は干し肉を食べた。




食事を摂り終えると、皆はそれぞれ横になったりしてくつろいだ。



しばらくして、ヴァーミリオンがむくっと起き上がり皆に言った。


「そろそろ、行くか。」





外はすっかり暗くなっていた。月は出ていない。



月明かりすらない闇の中を姿のない一団が


にぎやかな音をたてて行軍して行く。



 
途中でニ、三匹のオークに出くわす事が何度かあったが、


なんとかやり過ごした。



何故だか理由は定かではないがルッピだけは何回も魔法が


解けてしまって姿を現し、皆をヒヤヒヤさせた。



その度に、ユッキーやディーやユニ・ユニが魔法をかけ直した。







山の山頂付近には沢山の木材を組んで造られた、何に使うのか


よくわからないような大掛かりな装置が置かれていた。




ひときわ大きなテントが設けられており、その入り口に


見張りと思われるオークが三匹うろついていた。




岩場の陰に隠れた一団は、三匹のオークをどうしようかと思案した。



その時、ユッキーが何かに気が付いた。



 
「おい、タルタル二人組みがいないぞ。」





何と、その時。オークの目の前で、ルッピ・ジュッピと



巻き毛のタルタルの魔法が解けて、姿を現してしまったのである。


ヴァーミリオンが冷たく言い放つ。


「ここからじゃ、間に合わん。二人には死んでもらう。」



オークの見張りは三匹とも斧を持っているオーク族の戦士だった。



ルッピを一番に見つけたオークは斧を振り上げて、


 
ルッピ目掛けてそのまま打ち下ろそうとした。



あっ!



と、思うその瞬間。


テントわきのしげみから、一本の矢が飛んできた。



矢は斧を振り上げたオークの右側頭部に勢いよく深々と突き刺さり、


オークは命を失って、そのまま倒れこんだ。


 
それを見ていた二匹のオークは何が起こったのか、まるで理解できず



とまどっていたが、一匹が我に帰り、



「ウォォォォォォォ!」


と、危険を知らせる警戒の叫び声を上げた。



その声と、ほぼ同時に、


矢が放たれたしげみから三人の人影が飛び出してきた。


ルッピ・ジュッピを探していた三人の冒険者、



剣士マルレーン、狩人アヴァロン、


そして白い法衣の白い魔法の使い手の女性だった。




それを見たヴァーミリオンの決断は一瞬で下された。




「よし、前衛、突撃せよ!



魔導師は魔法で援護を頼む!!」


赤の魔導師、ユッキーの反応は素早かった。


 
「ΩXAγω!!」
 

オークのお株を奪う、闇をつくりだす黒魔法、ブラインを


手の印を一瞬で結び、即発動させた。



オークの魔術師が使っていた、


暗闇をつくって視界をさえぎる魔法だ。


一匹のオークが暗闇で顔を覆われ、とんでもない方角に


向かって攻撃している。


当然、振りだ。



 
外の騒ぎを聞きつけてテントの中から、


三匹の大柄なオークが現れた。



その中でも一番大きなオークは碧眼で、


片方の目が古傷で塞がっていた。



手には不気味な鋭い光をあやしく放つ魔斧、


ジャガーノートがしっかりと握られていた。


オークの王、バゴデだ。


ジャガーノートは持つ者に不思議な力を与える


といわれている。



やつが王になれたのもこの魔斧の魔力なのであろうか。



「王の攻撃は俺が引き受ける。


まずは他のザコどもをかたずけろ!」


ヴァーミリオンの命令に従がい、


皆はオーク達に対峙した。




ユニ・ユニは槍でオークと距離を採りつつ、


ニ撃、三撃と加えていく。


ユニ・ユニが大きな声で気合の声を上げつつ一撃を



 
放つと、上を舞っていた小柄な竜が降下して来て


オークに炎の息吹を吐きかけた。


オークは黒コゲになって絶命した。


ユニ・ユニはそのドラゴンの相棒に手をふって答えた。



黒光りする鎧に身を固め漆黒の剣を両手で中段に構えた


男はオークの攻撃をひらりひらりと、体をさばいて


かわしていた。



そこに黒魔導師ミスラのディーが後方から、爆炎の魔法を


撃ち込んだ。


黒炎に包まれたオークの動きが止まった。


そこへ黒剣の男が素早く、太刀を打ち下ろした。


斬!!


ひるむオークに向かって白い鎧のエルヴァーンの女が


間髪いれずに片手剣の軽く速い一撃が追い討ちをかけた。



素早い剣戟によって火花が散り、突風が巻き起こる。


 
そこへユッキーとディーが黒の攻撃魔法を撃ち込んだ。


激しい光と衝撃のかたまりと渦に巻き込まれて、


オークは憤死した。

 
オークの死体がまたひとつ増えた。



 
オークの魔術師が長い呪文の詠唱に入って集中していた。



オークの王と対峙していたヴァーミリオンは、


その呪文の響きを何気なく聞いていたが、


突然、あの時の悪夢がよみがえった。


今でも夢にうなされる黒い、あの闇に包まれたモノ…………。



ヴァーミリオンは、はっ、と我に帰った。



「メテオだっ!メテオが来るっ!逃げろっ!」



恐らく最強の攻撃魔法と思われる、究極の魔法 メテオ。



のさらにその上に浮かんでいるといわれている


星々の欠片を召喚し、敵の頭上に落とすという


恐ろしい古代魔法の究極のもののうちのひとつだ。



くらったら、運が味方しなければ死にいたる。


誰もが死を覚悟した。





しかし、あきらめていない者が一人いた。



マルレーンがいつの間にかオークの魔術師の背後をとっていた。


得意の不意打ちをくらわせる。



ガシュッ!!


強烈な一撃をくらって魔術師は呪文を唱えられなくなって


その場でよろめいた。


「ナイスだ。シーフの君!」

「ナイスだ。シーフの君!」


ヴァーミリオンとユッキーは同時に同じ言葉を発していた。


マルレーンの勢いづける一撃で皆は持ち直したかにみえた。



オークの王と対峙していたヴァーミリオンは盾で上手に


攻撃を受け流してはいたものの、鎧の継ぎ目を


鋭く狙う攻撃を何発か受けていた。


少なからず流血している。自身にかける回復の白魔法ケアルに


使う魔法力も底をつきかけていた。


「ユッキー、回復を頼む。」


ユッキーより先に白魔法の癒し手が回復魔法ケアルを唱えていた。


ケアルを準備していたユッキーは


呪文の詠唱を別の魔法へと切り替えた。



魔法は白い法衣の女性への回復魔法だった。





傷を負っていない彼女を回復してどうするのかって?


いや、そうではない。



彼の使った魔法は失われた魔法力を回復させる呪文、


リフレシュだったのだ。


赤と青の螺旋状の光のオーラが彼女の体を下から上へと、


駆け巡って、魔法力を徐々に回復させて行く。


「ありがとう。ユーキャスライト。」


白い法衣の女性はユッキーをユーキャスライトと呼んで


感謝の意を示した。


 
頭にかぶっているフードをとったシスターの顔を見て



ユニ・ユニが声を大きくした。


「ユーリアスさんじゃないですか。お久しぶりです。」


「無駄口叩いてないで、目の前の敵を叩くのニャ。」


黒魔導師のディーは、余裕をみせている。



「おい、ユーキャスライト。その回復魔法、俺にも頼む。」


巻き毛のチビタルタルが、いつのまにかユーキャスライトの


そばまで駆け寄って来ていた。



ユーキャスライトは、タルタルにリフレシュをかけた。


青と赤のオーラがタルタルの小さな体を包む。


チビのタルタルは精神を集中するように目を閉じる。


 
しかし、呪文を唱えるようなそぶりはみせなかった。


 
突然、彼の頭上の中の一点に空気がグググッ、と集まっていった。


ものすごい、風が巻き起こり、空気の流れが出来る。


 
風の中心に、鳥の姿をした女性のような形の光のかたまりが現れた。



「行け!セイレーン!オークどもをブチのめせ!」


セイレーンと呼ばれた、光のかたまりが羽をはばたかせると、


風にのった真空のかたまりの刃がオークたちのまわりを

 
飛び交い、オークたちを切り刻んでいく。



「あのタルタル、何者だ?!!」


その場にいた全員が息をのんだ。




「見たか!これが太古に忘れ去られた、幻の業。召喚術だ!!」


 ヴァナ・ディールの風の根源、セイレーンを従えし者。


 ルーツ・ルーツ様とは俺の事だぁ!」


巻き毛のタルタル、ルーツ・ルーツは興奮して、


ピョンピョン飛び跳ねながら叫んでいる。





オークたちは死体になった。



…………………………………。




かのように、誰もが思ったが


ヴァーミリオンとルーツの間に倒れていたバゴデが


むくっ、と起き上がってルーツへ魔の一撃を放った。




さすがにヴァーミリオンは即ざま反応した。


「神よ。ご加護を!!」


ヴァーミリオンの鎧の胸元に埋め込まれた宝珠が

キラリとまぶしく輝いた。



ヴァーミリオンの剣はバゴデの利き腕を切断していた。



オーク王の左腕は魔斧をしっかりと握り締めたまま、


地面へ、ころがった。





「グルォォォォォオオ!!」


決定的一撃を加えたと思いヴァーミリオンの肩から


力が抜けた。


気を抜いてしまったヴァーミリオンに、


バゴデが体当たりをくらわせる。


かろうじて盾を構えたものの、体当たりをまともに


受けてしまい、ヴァーミリオンはバランスをくずした。


 
どっ、と倒れこむヴァーミリオン。



バゴデは残った右腕で、そこに転がっていた左腕の


握っていた魔斧、ジャガーノートを奪い取り、


ヴァーミリオンの首を狙う。



あぶないっ!





しかし、そこへ鋭い衝撃がバゴデの体を貫いた。




狩人アヴァロンの放った弓の強烈な一撃が、


バゴデの胸に深々と突き刺さっていた。





矢は心臓まで達していた。


オークの王、バゴデは今日で、その短かった一生を終えた。








 …………………………。サンドリア港、野兎の逆襲亭。





給仕のサルバドールは、羽振りのいい客たちに


ビールやワイン、様々な料理を運びながら冒険者たちの


話を楽しく聴いていた。




「で、そのオークの王が持っていたという


魔斧ジャガーノートはどうなったんですか?」


誰かが尋ねた。


 
弓を背負ったヒュームの男が、黒ビールをひとくち


飲みほすと、しゃべりだした。



「俺の矢が、とどめになったってんで、


俺のものになったんだけど、ある人にあげちまったよ。


あんな恐ろしいもの平気で使うヤツの気が知れねーぜ。」





皆が酒を酌み交わしている中で、赤い服のエルヴァーンと


白い法衣の女性が、かた隅の席で向かい合って座っていた。



二人ともワインの杯を手にしている。


「あの戦いの後、あなたたちはどうしていたの?」



ユーリアスがエルヴァーンにたずねた。


「あの戦いって、いつの戦いのことだ?」


赤い服のエルヴァーンは室内にもかかわらず、


頭に白い羽飾りの付いた赤い帽子を被っていた。



「決まってるじゃないの、北の魔城で


 闇王を封印したはずの戦いよ。」


 彼女は、封印した”はず”と言った。



「ああ、あの時も君は一緒だったな。


 ヴァーミリオンとディーにユニ・ユニ、


 もう一人、名前は忘れちまったが、タルタルの

 黒魔導師も一緒だったか。」




「あの後、闇王の謎を解くために、ヴァナ・ディール中を


 旅してまわったわ。あの二人とはバストゥークで出会ったの。



 ユーキャスライトは、どうしていたの?」


「俺?俺は…………。」


話をしながら、ユーリアスはワインを口に運んだ。


「俺は、釣りにハマってた。」



ユーリアスは渋そうな顔をした。





調理場では三人のタルタルが忙しく働いていた。


親父のロッピは包丁でハーブを細かく切り刻んでいる。


おふくろのシャルルは、いつものごとく煮えたぎる鍋の中の


スープを熱心にかきまわしている。




ルッピは今回の大冒険で手に入れた戦利品の使い心地に満足していた。


「このナタ、よく切れるだなぁ。」


ルッピは笑顔で肉を切っていた。


これからは仕事が、はかどりそうだ。



魔斧ジャガーノートの切れ味は、兎のもも肉を切るのには、


もったいないほど、素晴らしかったのであった。


                  THE END









おまけ


イメージBGM

大塚愛 CDアルバム

「LOVE PiECE」収録

「Mackerell's canned food」





「ヴァーミリオン」



俺は誰も愛さない。

そんな俺が皆から愛される存在なのは

何かの皮肉なのか。



信頼できる友はいない。

信頼できる仲間はいない。


そんな俺が皆から信頼される存在なのは

何かの間違いなのか。





ただ、俺は


皆が好きだ。




ただ、それだけだ。




「ユニ・ユニと相棒」


始まりの時がいつだったのか

永遠に続くかと思われる まどろみの中で

私は 光というもののない 世界にいた。



硬い殻に こもって眠り続ける。

形のない 思考の波は 心地よい リズムだ。


………………………。



最近、眠りが浅くなったような気がする。

居心地の良かった この空間が 妙に あつい。


寝返りをうつことが 出来なくなった。

この殻を 破ってみようと思う。




ゴッ

ゴッ

ゴッ

パキッ、ピシッ




大きな白い殻を 破って現れたのは…………。



ユニ・ユニが間の抜けた笑顔になって喜んだ。



「生まれた!生まれましたよ!!

 ドラゴンだ!!見てください!

 小さなドラゴンですよ!!」



小さなドラゴンの誕生。


竜騎士ユニ・ユニの誕生の瞬間でもあった。





「ユーキャスライト」


剣の修行も魔法の修行も大好きだった。

それで、どちらの道に進むか決められなかった。



騎士にもなれず。

 
魔導師にもなれず。



剣も魔法も、とうとう一番には、なれなかった。



いつも一番の気に入りの赤い服を身にまとって戦っていた。


そんな私は、いつしか、こう呼ばれていた。



最強の 赤魔導師、と。




「剣士、アヴァロン&狩人、マルレーン」


一撃で、


決める。




「黒い鎧の男」



斬る。それが俺の生きがい。






「黒魔導師ミスラ、ディー」



魔法を究めたら、


次は、食の道を究めるにゃ。





「白い鎧の女性エルヴァーン」


貴方に従っているのは、

貴方の事が好きだからです。


気づいてください。ヴァー○○○○。





「白の癒し手、ユーリアス」



私は、皆を元気にしたい。

そして、私も元気でいたい。


それには、愛が重要なんじゃないかなぁ。



「召喚師、ルーツ」



俺には友達が一人もいなかった。

風だけが唯一の友達さ。


そして、俺は風になった。


……………………………。






なんちゃって。

俺は、死んじゃいないぜ。

そして、今では、皆が友達だ。




「料理長、ロッピ・ジュッピ&シャルル」


ルッピのアホたれめが。

兎一匹しか獲れねえで、何しとっただか。



「給仕、サルバドール」


うちの黒ビール、ちょっと高いけど

値段分の味は、保証しますよ。




「ルッピ・ジュッピ」



オークは怖いだども

それ以上に、冒険者の方が恐ろしいだよ。


ああ、このナタ、素晴らしい切れ味だぁよ。



おしまい。

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