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Ten years up to the Station KAG★YA.           「竹取恋愛物語Last」

2011年10月28日


月に大型氷塊隕石衝突。



月の女神の美しい顔は大きくえぐられた。





月の表面に水蒸気、水、氷が大量に落入。



月における大量の水の確保が可能となったため、

世界各国は、月の大気の安定を待ち、

月への安全な経路を探査、



月への隕石衝突から10年の月日が経過。





いよいよ、機は熟し、人類は


月面基地の建設に乗り出した。

















そして俺は、……………






オープニングテーマ


大塚愛 CDアルバム

「LOVE LETTER」より

「ロケット・スニーカー」









Ten years up to the Station KAG★YA

「竹取恋愛物語Last」

                      作:いしかわ ゆきひろ







60秒前


エンジン出力アップ、レベル8に
 

レバーを思いきりよく上げた。






50秒前


安全ベルトに思わず手がいく。







40秒前


緊張が最大限に達した。




30秒前


燃料供給量アップ





20秒前


補助エンジン出力最大


振動がものすごい。




10秒前………



9……、サイン灯最終確認。


    

   オールグリーンを視認。

8、



7


6


5 制動装置解除。



4



3



2 発進ボタン…







1 …   ……    ………








大きな打ち上げ花火が夜空にあがる。










俺の頭のなかは真っ白になった…………………。





























「タケル、ねえ、タケル!ちゃんと聴いてるの?」





「ん?あ、ああ。ごめん、ちょっと考え事してた。」






「この前、言ってたこと、本当なの?」




「え?、なんのこと?」





「かぐやさんが離婚したって言ってたじゃない。」





「ああ、本当だよ。」






「タケルとかぐやさんって、どういう関係なの?」



「え?、ただの友達だよ。



 なんで、そんなこと訊くんだよ。」








「だって、いつもいつも、かぐやさんから電話かかって


 くるじゃない。この前も、食事いったって、きいたわよ。」






「ああ、それは、仕事の話だよ。


 いま、ものすごいプロジェクトのメンバーだって、


 何回も話しただろ。」







「だから、そのプロジェクトってなによ?


 そのうち、話す。って、全然、教えてくれないじゃない。」








「月へ行くんだよ。」





「え?」






「月へ行くんだ!俺が!」




「マジで?!やったじゃない!タケル!



 おめでとう!夢が叶ったね!」







「しばらく、忙しくなるから、なかなか会えなくなるぜ。」




「うん。アタシも応援するからね!」





メグミの、あふれる笑顔が俺の目に焼きついた。
















地上から約1万メートル


あっというまだ。


サイン灯確認。


オールグリーン。


順調だ。順調でなきゃ、困る。……、ものすごい加圧だ。



この体勢、疲れる。















黒から、パっと明るくなる画面。


そこに表示されたのは………















”やっぱ、好きやね~~ん♪”



俺は、携帯を受信設定にした。


”はい、神無月です。”



”あ、タケル君?かぐやです。


 No.322の資料のことで、ちょっと訊きたいんだけど。”



”えーっと、今日、わたされたやつですか?


 もう、そんなとこまで読んだんですか?


 俺、まだ、目を通してないです。”




”あのさ……、おなか空かない?”


”え?そうですね、食事でも行きますか?


 あ、でも資料読まなきゃ………。”


”食事しながらでもいいじゃない。いこいこ。”



”そうですね。じゃあ、サテライトの前で待っててもらえますか?


 クルマでひろいます。”







俺の愛車は2代目のスポーツタイプのセダンだ。


喫茶サテライトの前に立っていた美女の前に、


すっ、と止まり、彼女を乗せて走り出す。









「何が食べたいすか?どこいきましょう?」






「ちょっと、ドライブしない?」





「え?」





「いいじゃない、そこ左。」





「え、こっちは………」


「いいから、左。」


「は……、はい。」






夜の街を抜け、クルマは郊外へと向かっていく。






”今夜もみなさまと、楽しいひとときを……”



プチっ



かぐやさんは、ラジオのスイッチを切った。









なんか、変だ。



どうかしたのか?かぐやさん。




「音楽でもかけましょうか?」




「アンタ、大塚愛しかきいてないでしょ?



 もっと、リラックスできるメロウなやつがいいわ。」



俺は、とっておきの一青窈をかけた。



彼女のデビューアルバム「月天心」




2曲目の「もらい泣き」が流れはじめてしばらくすると、



かぐやさんが、ぼろぼろと、涙をこぼして泣き出した。




俺は、びっくりしてきいてしまった。


「どうしたんですか?かぐやさん?」



「なんでもないわよ!」




精一杯の声で答えた、かぐやさんの声は

少し、うわずっていた。







俺は、しかたなく、クルマを海へと走らせることにした。                                  
 


 挿入歌  

大塚愛 CDアルバム

「LOVE LETTER」より 

「バイバイ」 





春の夜の海は、まだ、とても寒かった。                     


俺は、クルマに置きっぱなしの厚手の上着を


かぐやさんにわたした。




まわりは、暗く、星がたくさん見えた。




服が汚れるのも気にせずに、かぐやさんは


砂浜に腰をおろした。




途中の道中のコンビニで買った、ホットコーヒーも、

レンジで暖めてもらった、おにぎりも冷めていた。


                               


「アイツと会って20年。

 いっしょにいたのが15年くらいだった。」





「え?」




「別れたのよ、だんなと。カズヤと。」




「俺は、なんて言ってあげればいいんだろ。」





「別に、何も言わなくていいよ。」




かぐやさんは、ジッポとタバコの箱を取り出した。




「これ、あげる。」



「え?」




「アイツが、いやがってたタバコ。


 もう、やめる。」




「そうですか、じゃあ、俺が預かります。」








かぐやさんの隣で、夜の海をながめる。




いつの間にか上弦の月が出ていた。






















はっ、と気が付くと大気圏を脱出していたのか、


目の前の景色が暗い。






機体が安定しているようだ。



機体に離陸の衝撃による損傷がないか、チェックした。



クルーの一人、マイクが計器類の数値を声を出して確認している。



「オーマイガッ!」



「ん?ワッツ、ハップン?」




ランプのひとつが、いつの間にか緑から赤にかわっていた。





補助エンジンの出力がゼロに落ちていた。



俺の宇宙に神はいないのか。









推進予定方向に、ズレが生じている。



通信回路を開く。



補助エンジンの出力ゼロのまま、上がりません。


と地上スタッフに緊急連絡を入れた。




すると、補助エンジンへの燃料供給を


至急停止するよう、的確な指示が出た。









10分後、新たな指示が出た。


メインエンジンの動力だけで推進、宇宙ステーションへ向かう。



















メグミの両親にはじめて会った。



メグミが会ってほしいと言ったからだ。








俺は、メグミの両親の見てる前で、


メグミに指環をわたした。



なんだか照れてしまって、無言でわたしてしまった。



メグミは笑顔で泣いていた。





メグミの両親は、とても喜んでくれた。








「あれ?この指環、石がはまってないよ?」






「お金がなくて買えなかったんだ。ごめん。」






「そうなんだ。いいよ。



 お金が貯まったら買ってね。」



「ああ。」




俺は、ウソをついた。

ゴメン、メグミ。





















宇宙ステーションでは、一足先に宇宙へとあがっていた

タクヤが待っていた。





ランデブーを無事済ませ、さっそく、

補助エンジンの点検作業手順を頭にたたき込む。








はじめての宇宙は暗く、冷たかった。


眼下の地球が残酷なまでに青い。











異常個所はすぐに発見できた。




発射の衝撃で、補助エンジンへの燃料供給バルブが

一箇所、ハズレていただけだった。



これなら、バルブを締めなおして、燃料が正常に

行き渡れば、エンジンは動く。




故障を発見して、すぐに燃料の供給を停止しておいて正解だった。




バルブを締める作業ははタクヤが機械を操ってやってくれた。





クルー全員が見守り、OKを出した。




地上にその経緯をつたえると、その後のスケジュールが


コンピュータに送られてきた。












「おい、地上との通信だぞ。」




「テレビで流れるんだよな?」



「ああ、変な事言うなよ。ハジかくぞ。」









俺は、地上の人たちに、異常は無事に


解決したことを伝えた。







”スタジオに神無月飛行士のフィアンセの

 大塚メグミさんにお越しいただいてます。


 なにか、ひとこと、お願いします。”




え、そんなのきいてないぞ。

あ、ほんとにメグミだ。メグミが映ってる。





あ、そうだ、プロポーズしなきゃ!


ここで、結婚してくださいと言わなきゃ!





春色のリップをつけたメグミの唇が動いていた。


「神無月さん、わたしと結婚してください。」




さ、さ、先に言われた。




「神無月飛行士、どうですか?


 OKしてあげてください。」



「は、はい。こちらこそ、よろしくお願いします。



 月の石を持ってかえります。」





メグミが心配そうな顔でこっちを見ていた。




「そんな顔しないで。


 無事にかえると約束するから、笑って。」



思わず出た言葉に、メグミはいつもの笑顔をみせた。







宇宙ステーションに滞在中は、俺達は休息するのが任務だった。







復習のため宇宙船のマニュアルと、にらめっこしている俺に、



タクヤは、宇宙食のカレーライスを持ってきてくれた。




「俺、プロポーズできなかった………。」


「え?してたじゃん。さっき。」



「メグミだろ。プロポーズしたのは。」



「あれ?そうだっけか?

 じゃあ、お前からもしとけば?」



宇宙酔いというやつだろう、


頭がぼーっとして少し熱っぽい。




無重力になり、普段、地上にいるよりも


多めに頭に血液がまわるために起きる。




宇宙ステーションに二泊して、


翌々日、俺達の船はステーションを離れた。






月への航行は注意深く行われた。




隕石衝突の際に、宇宙空間に飛び散った、


かけらが漂っているからだ。





俺達の目指している、小さかった銀の珠は、いつのまにか大きくなり、


今では視界のほとんど半分くらいを占めていた。







前哨灯のスイッチを入れたまま、


時速約70㎞の低速状態で月周回軌道に到達した。




コンピュータに着陸軌道を計算させ、


自動運転に切り替えた。





間もなく、月へと機体は降下していった。






満天の星が俺を包んでいる。






















…………………パチっ………

………パチ、ぱちっ……………

……………。









「俺、俺も月へ行きます!」



「え?……………………」



俺の言葉に戸惑うかぐやさん。




メグミが、すっと立ち上がった。



「わたしも月へ行く!」






線香花火の玉が、ぽとり、と落ちた。




そこにいたふたりは、まだ17才だった。





























月面基地にはカズヤさんが滞在していた。


俺の乗ってきた宇宙船は、食料と大量の資材、


少しの研究資料に少量の私物を届けに来たのだった。





「カズヤさん。これ。」




俺は、かぐやさんのジッポとタバコの箱をわたした。




「お、気が利くねえ。あっちの部屋で話そうか。


 コーヒーのストックあるぞ、そこ。」



カズヤさんはタバコをくわえて、ジッポで火をつけようとした。


なかなか、火がつかない。




「なんだ、これ。しけってるじゃねぇか。」


カズヤさんは、タバコを口からはなした。




ジッポのフタを開けたり閉めたりしている。





「かぐやさんの涙ですよ。」



「え?、




 知ってたのか?俺達が別れたこと。」



カズヤさんは、ジッポを持った手を顔の前まで持ってきた。



 
「そういや、このジッポ。


 俺がかぐやにやったやつじゃねえか。


 わざわざ、月まで返しに使いをよこしたのかよ。




 かぐや姫。」

 





「俺、地球にもどったら結婚します。」



「ああ、メグミちゃんだっけか?」



「俺は絶対にメグミを泣かせたりなんかしません!」



「言ってくれるじゃん。若者。



 地球のように青いケツしてんじゃねぇの?」



「なんで別れたんですか?」



「お前、そーゆーこときくか?普通。


 

 で、いつ?」


「え?なにがですか?」



「お前は、いつ別れんの?」



「俺は、別れません!」



「あ、っそ。じゃあ、結婚式いつ?



 俺、ここの勤務、後3ヶ月だから。


 間に合うなら式、呼んでくれよ。」





「式、やるかどうかも決めてなかった。」




「おいおい、しっかりしろよ。」






まずいコーヒーを流し込みながら、頭上の青い星を


しばらく二人でながめていた。




「お前、月面の石、回収の任務なかったか?」



「あ、そうでした。行って来ます。」







任務の途中、うち捨てられた宇宙衛星の機体を見た。



あれが、タクヤの言っていた、


15年前に月へたどり着いた、


という「かぐや」なのだろうか。







月面の手ごろな大きさの石を何個か回収した後、



マイクと話した。




彼は既に結婚していて、三人の子供がいた。



一番上の子が小学校三年生くらいだろう。




「I make up her marriage ring by moon stone.」



「hahaha,its very good idea.

So many sunshine light up stone and you.」


「Not,Sunshine.But Moon Light.」


「Aha,Muh.」





マイクは月面基地のメンバーと入れ代わりで


月面滞在任務に入った。












いろいろあったが、


俺の長年の夢だった月での暮らしが終わった。


残念ながら、月にかぐや姫はいなかったな。






俺達は地球への帰途に就いた。








あいかわらずの、殺風景な宇宙の景色に


なれっこになっている。







サイン灯目視。




オールグリーンを確認。






コクピットパネルから目線を上げると


暗闇のなか、遙か先に青い宝石、地球が浮かんでいる。








故郷の星では一番の友人であり、


最愛の人が待っていてくれている。









月の石をはめた指環、気に入ってもらえるといいな。










プロポーズの言葉をいつまでも決められず、


迷っている、俺の心は、もう迷ってはいなかった。








エンディングテーマ


大塚愛 CDアルバム

「LOVE PiECE」より


「HEART」







作者 あとがき



この物語には間違いが2つあります。




それは、喫煙習慣のある者は



宇宙飛行士にはなれないのと



たばことライターは、恐らく



宇宙船には持ち込めないだろうということです。




あと、虫歯になったことがある人も




宇宙飛行士にはなれないそうです。



タバコは吸わないけど、虫歯があるから



宇宙飛行士には絶対なれないわ、俺。

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